ブエナビスタが解らない

先日のオークス、云いたいことは山程ある。

が一言で云えば、ブエナビスタが同世代の牝馬に千年縛りをかけた そのためのレースだったと思う。
特にあれだけ自分のレース展開を行った末、何もかも計算づくであったかのようにひたりと差された
レッドディザイアにとっては二度と対戦したくない相手と思わせたのではないだろうか。

その意味でわたしは見ていて酷なレースだなと思った。

ブエナビスタは唯一借りのあるアンライバルドリーチザクラウンと勝負すべきだったと思う。

あのようにライバルたちにトラウマをもたらすような走りを見せつけ、
実質的にはライバルの存在しない彼女のほうが、アンライバルドよりよっぽど「アンライバルド」らしい。
つまりアンライバルドブエナビスタに再度勝たなければ たとえダービーを獲ったとしても
まだその名付けにたいして 十分拮抗しているとは云えまい。


今年の三歳馬は どこかそら恐ろしい。
ダイワスカーレットウオッカのような語り継がれる世代でもなく
ディープスカイの世代のようにどこか心を晴れやかにしてくれるわけでもなく
ただただ強い馬がその強さを見せつけるために周囲が存在している世代、そんな気がする。

(たとえブエナビスタ三冠馬となったところであまりにも惨い勝ち方をする馬としてあまり語られずに終わるのではないだろうか。

そうなのだ。私の一番の心配事は話題づくりのために秋のG1戦線でウオッカとあえてぶつけてくるのではないかということだ。
年内引退を発表した彼女をブエナが直線でまくるようなことがあれば それは単なる世代交代のような楽観的な事態ではなく
ブエナビスタの強さを周囲にしらしめるための道具のようにウオッカまでもが扱われかねない。

ブエナビスタの二冠は競馬をやる人々にとって
これからさまざまな苦しいレースを見ていかざるをえないという
予兆のように思われる。