湖
(たとえば円卓を囲んでわたしたちは周遊する記号を正確に計測することを欲したのだった 湖にイモリの失われる季節の訪れることはなく 測れない 測る 「いいえ
手足を伸ばしたその先には届かないほどの視野のなかで見出されることを待っていただろう深い森の水面 小さな鳥たちは隊列を組み 閉ざされた光のなかでタイヨウを目指すことなどとうに忘却していた昨日までの
(雲のように孤立し、)
三日三晩だった わたしたちの霧を正常でない位置から見定める一通の便りの はじめる はじめよう 届かない 「いいえ 燃えることのない葉書など届かない 「いいえ
桟橋の下の光を喰った魚の腹のなかには一匹のゲンゴロウがいまも呼吸を続けている ときみからの手紙には書いてあったね わたしはイモリの生態について研究する少年の助手であったからイモリの写真を収めること以外になんら興味はなかった
(残酷な青が到来し、)
明けない夜はあった
橙の灯は終わりまで
湖面の黒を裏切ることはなく
浮かび上がる
三人の
影と水滴の
露になった 背中に
イモリの
写真はゆっくりと
焼きつけられ
正しいやりかたで
おこなわれた
小さな儀式の