彼岸まで

卒塔婆に置き去りにされ
産道を走って
おまえの 
狂いの顔を
特売日に
売っておきました


昨日の
彼岸テレビでは
ジブリール
髭のおじさんの
耳元で
何か
囁いていたんですって


夕焼け小焼けで
日が暮れた日の
帰り道では
丘、と
タイヨウに出くわします


おかあさん
わたし
お家に帰らなくとも
よいですか


異なる
ふたつの
乳房を
ベランダで
虫干しすると
わたしの
生まれた日
のことを
想いだす
そうです


むず痒い胃の突端で
おまえが
溺死するまで
わたしは泳ぎ
を習い
続けます